暮らしの中の人権-HIV感染者・ハンセン病患者等-

HIVって、エイズってなに?

HIV感染者であることを表明しているAさんが、新入社員として入社してきました。

社員1「エイズって、意外に身近なことなのね。」

社員2「エイズは、普通の生活ではうつらないって聞いてるけど、Aさんとは、どのようにつきあっていいかわからないよ。」

社員3「うちの部署に配属されたらいやだな。」

社員4「よくエイズとかHIVとか言うけど、違いってあるのかな。」

あなたなら、この会話を聞いてどのように答えますか?

用語解説
  • HIV(Human Immunodeficiency Virus ヒト免疫不全ウイルス)
    血液等体液を通して感染するウイルスの一種。主な感染経路は、血液感染、性行為による感染、母子感染等であり、入浴、食器の共用等の通常の社会生活では、感染しません。HIVが傷や粘膜から侵入してHIV感染症にかかり(無症状期間)、HIVによって引き起こされる免疫不全症候群のことをエイズ(AIDS)と呼んでいます。
  • エイズ(Acquired Immunodeficiency Syndrome 後天性免疫不全症候群)
    人体の免疫機能を侵す病気。HlVを病原体とする感染症です。通常、感染してから平均10年程度の無症状期間を経て発病しますが、最近では、内服治療等によって発病がかなりおさえられるようになりました。
HIV感染者等を支援する社会活動
レッドリボン運動(支援する意思表示として、赤いリボンを服や持ち物につける)、メッセージキルト(エイズについての自分たちの気持ちや考えを表現するために作る布)の展示、エイズボランティア活動などがあります。

ポイント

  • エイズの感染経路や予防方法など正しい知識を持っていますか。
  • 「HIV」と「エイズ」の違いを理解していますか。
  • HIV感染者やエイズ患者を偏見や差別意識を持って見ていませんか。
  • HIV感染者やエイズ患者の人たちが、地域や職場で生活していくために、必要なことは何でしょうか。

ハンセン病ってなに?

ハンセン病回復者のBさんが生まれ故郷に帰ってきました。

県民1「ハンセン病って、感染力も弱くて薬で治る病気だよね。」

県民2「でも、最近まで国は強制的な隔離を続けてきたんでしょ。病気についても詳しくは知らないし、本当にうつらないのかな。」

県民3「病気が治った人に実際に会ったこともないし、どのように接したらいいんだろう。」

あなたなら、この会話を聞いてどのように答えますか?

用語解説
  • ハンセン病
    かつては伝染病とも遺伝病ともいわれ、1907年(明治40年)に制定された「らい予防法」が、1996年(平成8年)に廃止されるまでの間、患者は強制的に隔雛されてきました。実際は、感染力の極めて弱い「らい菌」による感染症で、治療により治る病気です。
    ハンセン病に感染すると、手足などの運動まひや、痛みや熱さを感じないなどの症状が現れたり、皮膚にさまざまな症状がおこったりする場合があります。その結果、やけどやけがをしやすくなり、病気が進むと手足や顔などひと目見てわかる部分に変形や機能障害が起こり、患者は差別の対象になりやすかったのです。

ポイント

  • ハンセン病の感染力や発病後に残る障害等について正しい知識を持っていますか。
  • ハンセン病患者等に対して、外見上の特徴から差別意識を持っていませんか。
  • ハンセン病回復者は、病気が完治していても地域社会に戻らず療養所での生活を続ける方が多いのはどうしてでしょうか。

考えを深めるために

HIV感染症は、感染経路も予防方法もわかっており、これらを正しく理解して対応すれば、感染を防ぐことができる病気です。しかし、正しい知識や理解の不足から、今なお病気に対する偏見・差別が残っています。

また、ハンセン病は、治療して治った人からは感染しませんし、遺伝病ではないにもかかわらず、国による強制隔離政策がとられ続けたことなどから「うつりやすく恐ろしい病気」という間違ったイメージが定着してしまいました。

そして、ハンセン病療養所入所者の多くは、家族や親族、社会との関係が絶たれたこと、また高齢の方が多いこと、未だ社会における偏見・差別が残っていることなどから、社会復帰が困難な状況にあり、自然体での交流ができるような地域社会づくりを早期に進めていく必要があります。

感染症患者等が地域において安心して生活をしていくためには、感染症患者等の人権に十分な配慮を払うとともに、感染症に対する正しい知識を持ち、理解を深めることが必要です。

このほかの感染症、例えば結核、SARS(サーズ:重症急性呼吸器症候群)等においても同様にいわれのない偏見や差別に苦しむことがあります。こうした他の感染症についても考えを広げてみてください。

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