暮らしの中の人権-高齢者-

おやじもそろそろ?

夕食後、今朝のおじいちゃんの失禁(おもらし)のことで、話し合っています。

母親「おじいちゃんが、今日おもらししてしまったの。 先月もあったのよ、どうしようかしら。」

あきら「そうだよ、おじいちゃんは、最近ときどき訳の分からないこと言うし、うろうろするし、おもらしするし。友だちが来た時に、おもらしなんかされたら恥ずかしいよ。」

父親「親父もそろそろボケてきたかな?昔は、元気に近所の世話役もしていたんだがなぁ。」

ひろし「おじいちゃんは、元気だよ。犬の散歩に一緒に行ってくれてるよ。」

父親「とにかく親父の世話は、主婦であるおまえにまかせてるんだから、よろしく頼むぞ。」

あなたがこの家族のひとりであれば、この会話についてどんなふうに考えますか?また、この家族に対してどのように言いたいですか?

ポイント

  • 加齢により身体機能などが衰えていくことを、どのようにとらえていますか。
  • 高齢者の人間としての尊厳を尊重していますか。
  • 高齢者の介護は、女性だけの仕事でしょうか。

考えを深めるために

平均寿命の伸びとともに、高齢者の割合も増えてきています。その中には、健康な高齢者も多く見られますが、一方で心身の衰えが著しかったり、病弱な高齢者も増えてきており、なかでも、寝たきり等の介護が必要な高齢者の増加は社会問題となってきています。

加齢に伴い身体的機能が衰え、物忘れがひどくなったり、寝たきりになるなどの症状は、本人の意思とは全く関係ないもので、周囲の人もそのことを十分認識しておく必要があります。高齢者は、それぞれにライフスタイルを持って生活してきた人であり、そのことに十分配慮し、人間としての尊厳やプライバシーを尊重しなければなりません。

この例でも、おじいちゃんの過去の経験、歩んできた道のりなどを踏まえ、おじいちゃんの症状(現状)を受け入れ、例えば、排泄の時間を見はからったり、落ち着きがなくなるなどの尿意のサインを見つけたら、さりげなくトイレに誘導するとか、居室をトイレに近いところにするとかの工夫が考えられます。おむつは自尊心を傷つけますので何度か失敗したくらいで、すぐおむつを考えるのは早すぎます。また、「ボケ」「おもらし」などの言葉も自尊心を傷つけてしまいます。高齢者の気持ちになって考え、人間としての尊厳を尊重した対応が必要と考えられます。

介護は、いつ何があるか分からない緊張の連続で、一人で介護を背負うことは孤独でつらいものです。介護は女性の仕事と決めつけず、家族をはじめ社会全体で支え合っていかねばなりません。また、よりよい介護をするためには、各種のサービスを上手に利用する必要もあります。

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